雲海が見える
高度の高い森林地帯
朝陽を受けて浮かび上がるのは
廃墟のような
骨組みだらけの球体
何かとてつもなく巨大な力が
来るべき時を待って
密かに息づいているかのようだ
これほどの美しい世界につつまれて
それ以外にいったい
何が必要だというのだ
例えこの世界に
残された最後の一人だとしても…
そこは世界の果てなのか
世界の始まりなのか
遠い遠いこの極北の地に
それでも人工物のような建物が見える
そこはすべてが静止した場所
彼女が誰で
どこからやってきて
今着地(landing)するこの場所が
いったいどこなのかも
わからない
でも彼女からは
非日常的なエネルギーが
発散されている
広大な森林地帯の上空に
圧倒的な重量感を持って浮遊する
巨岩群
強烈なパワーを発している場所
緑の中に集落が見える
耕作地や農道もある
その中央に要塞のようにそそり立つ台地
中腹のやや平坦な場所にも家々が見える
そして最上部には
幻のような古城
いや
まぼろしは
天からの光に照らされて一瞬その全貌を現した
この場所すべてかもしれない
霧とともに
突如現れる古城
しかしそれはすでに廃墟となり
建物は荒れ果て
骨組みがあらわとなっている
でも門の中に光が…
いや門の取手そのものが
宙に浮いてはいないか…
太洋を渡っていた帆船が
今異次元へと旅立とうとしています
空間を越え時を越え
どこへ向い
どこへ辿り着くのでしょう
人知れず
広大な大地に静かに倒れ込む
廃墟となった円筒建造物
大自然は
何事もなかったかのように
静かにその姿を見つめている
陸地は水没し
森は水につかってしまった
戦いの後のように
瓦礫とかした廃墟の街の一角に
手作りのような建物が
身を寄せ合うようにして建っている
はたしてここに人が暮らしているのだろうか
それとも
ここもまた最後の努力も報われずに
廃墟となった建物なのだろうか
人工的な感じもする奇岩
その巨大な岩に囲まれた薄暗い入り江
低く立ちこめた雲間に隠れるように存在する
薄暗く波静かな秘境
そこは翼竜のテリトリーのようだ