彼女はそこで
そのまま動かずに
あなたを見下ろしている
あなたを見つめている
後ろに虹が見える
広大な海
神秘的な虹
美しい光景
にもかかわらず
ファンタジーではない
これはホラーだ
海上に延びる森林地帯
その先には
巨大な僧院がある
一見廃墟に見えるその建物は
「妖怪城」と呼ばれている
広大な森が行く手を阻んでいるので
そこに何がいるのか何があるのか
誰も知らないという
どこか懐かしい雲
懐かしい空
懐かしい岩山
そして木々の緑と小さな波が見える海
奇岩すら懐かしい
懐かしい色
懐かしさを感じるはずもないのに
懐かしさを刺激するノスタルジックな風景
その男の子は
そのネコは
そのボールは
すべて幻かもしれない
そこはかつては
海面からかなり高い場所に
あったのかもしれない
今は吊り橋の一部が
波に洗われている
でもその先の不思議な場所は
昔も今も変わらない
別の世界に繋がっている
小さな
光あふれる舞台
広い広い森の中
でも薄暗さはなく
木々は輝き
大気は光に満ちている
そして出会った
美しい蝶の群れたち