かつて栄えていた港町か、
それとも軍事施設か……。
でも今はただひっそりと
建物だけが残っている。
そして、のどかな日差しの中で
昔の夢を見ている。
その山のいただきからは、
何か不思議なものが見えるという。
来たことがあるかどうかではなく、
この場所をわたしは知っている。
この景色や空気や光を
なぜかとても懐かしく思うから。
異様な姿とは裏腹に、
どうしても登ってみたくなる場所。
摩天楼に埋め尽くされた山々
でもそこにはもう
誰も住んでいないのかもしれない
それは「目」と呼ばれている。
中央の「瞳」の部分は、
最初はなかったと言われる。
閉じていた目が、開いたのだろうか。
永遠に続く
安らかな
何も無い風景
天国というのは
こんなところかもしれない
どんよりした空に薄暗い山の陰
その山裾からまるで新しい命があふれ出るように
明るく力強く広がる木々
良く見ると家々も散在しているのである
明るいとか暗いとか
単純に言えない不思議な風景になった
そこにあるのは平和か虚無か絶望か
でもきっと優しい風が吹いているような気がする
満開の桜と
地面や水面に広がる桜の花びら
この世の眺めとは思えない
やはりここは黄泉の国か…
日本画のような世界
桜の樹の下には
屍体が埋まっていると言ったのは
梶井基次郎であったけど
それならここはさしずめ
死者の楽園というところであろうか
その山の向こうに
どこか別の世界に通ずる入口が
開いているのかもしれない
オブジェクトを変えずに
二種類のレンダリングを行い
Photoshopで重ねるという
初の試みによる作品
ここは地球のようで地球ではない
あるいは地上のようで地上ではない
見上げると球状の物体が連なって浮かんでいる
空間をコントロールしているタワー群
世界は謎に満ちている
それはランドマークか
あるいは住居か
あるいは要塞か
空気は澄み
辺りは静まりかえり
動くのはわずかに揺れる水面だけ
「海底軍艦」の轟天号のように
空中を静かに航行するのは
ネモ船長が舵を取るノーチラス号である
キラキラと水面が光る海へ
樹々で覆われた岩山を越えて行く
この岩山は小さな島で
こちら側に入り江があるのだが
向こう側に行くには
島を回り込まなければならない
でも飛行船ならひとっ飛びだ
樹々が織り成す様々な緑の色合いが美しい
Daytime
Daybreak
樹々が不気味な模様を描くドーム
そこに向かう一本の道
森の先には海が広がる
その向こうは世界の果て
あるいは別の世界の始まり